つよく、優しく、しなやかに、美しく ・・・「民 際」 と 「共 生・共笑(ともえ)」 な 眼 で 世 界 の 中 の 日 本 に 思 い を は せ て ・・・

20 風邪をひいて おもうこと 【にしゃんた こらむ】


今年の3月は大変でした。
ずっと忙しかったせいか、季節の変わり目やからか、4週目に差し掛かった頃から、身体の調子がどうもおかしなってきたんです。家にあった風邪薬を飲んでみたんやけどね。治りそうにない。
「これは、プロに任せるしかない」
下手に自分で治そうとすんのは止めて、医者に頼ることにしました。それでたまたま大学にいたんで、医務室に行ったんですわ。久しぶりに行ってみると、新しいお医者さんにかわっててね。スリランカの話をしながらの受診になりました。初対面の人やと、いつもこのパターン。
「いやー日本語上手やね」「はぁ、どうも」
以前に風邪をひいたとき、点滴ですぐ治ったんで、「すいません、先生。点滴を打っていただけませんか?」ってお願いしてみたんです。そしたら「いやー、にしゃんたさん。日本人みたいですね!」・・・意味わからん。結局、錠剤だけ渡されて点滴はしてもらえんかったですわ。
イヤな感じはしたけど、プロが言うてんのやから、様子を見ようと思ったんです。

 ●

翌日。
やっぱり、立ち上がることも出来へん。こういう時、おかんを思い出したり、結婚したいって思うんですよね。関係ないけど。
「あかん。これは治りそうにない。もう、どうにもできんわ」連れに電話をかけて、助けを求めたんです。そしたら「救急車呼びや」ってアドバイスをくれましてね。初めて119番してみました。風邪だけで呼んだら怒られるかなって、不安やったんやけど。
「すみません。風邪やと思うんですけど、救急車をお願いするときってお金いりますかね?」「いりません」「ほしたら、お願いします。住所は京都市右京区・・・」「すぐ行かせます」

 ●

ほんま、すぐやったですわ。サイレンが聞こえてきましてね。「部屋で待て」って言われてたんやけど、担架なんか持ってこられたらオーバーやし、部屋も散らかってるし。
せやから前の通りまでなんとか降りて行きました。厚手のジャンパーに、深くかぶったニット帽。ほとんど銀行強盗ですわ。
そんな僕に、救急隊員は降りてくるなり一言
「乗って」
弱っている時って敏感ですよ。言葉使いがなんかトゲトゲしいっちゅうかね・・・。
肌の黒い僕を見て「日本語わかる?」とか「留学生?」とか、こっちは朦朧としてるのに質問攻めですわ。それもエスカレートしてきて「国どこ?」「スリランカです」「スリランカにも風邪あんのか?」
僕はめったに怒ることはないねんけど、その時は、高熱で身体を震わせながら
「風邪と国籍が関係あるか! しょうもないこと聞くな!!」
・・・って、思っただけやけどね。

 ●

それはともかく、体温計を渡されたんです。測ってビックリ。37 度5分。平熱やんけ! 救急隊員を教育しとる場合やない!
熱があることが確認できるまで、車は動かないんです。これはヤバすぎる。このまま部屋に置いとかれたら、翌日には死んでるに違いない。
熱あがれ!って内心祈りながら、もう一度体温計を脇へと運びました。
「ピピッピピッ」祈るような気持ちで体温計に目をやると・・・39度1分。
危機一髪?でした。
病院では、身体の調子を事細かに聞かれました。丁寧に答える僕に、お医者さんが
「日本語、うまいっすね」
またか・・・。そん時チラッと見た彼の名札には、「朴」と書いてあった。
朴先生は在日2世やったんです。日本語喋れて、何が不思議やねん? 在日2世の方でも、そんなこと言うんやな・・・。点滴を打たれながら、ボーっとした頭で考えてました。

 ●

今回、風邪をひいて、あらためてここが日本やったんやなということを思い出しましたね。
日本で暮らす外国人は、ドンドン増えています。日本人と外国人の「ハーフ」も、それに伴って増えてくるでしょう。「ハーフ」って、「半分」しか入っていないって発想ですね。でもその子らには「半分」やなくて「二つ」の文化を持っているんやでって言うてあげたいです。
この島のどこかで、普段の生活の中で、地域住民として、国家を背負うことなく、暮らしている人たちがいる。早くみんなの間で「当たり前」になれば良いなって思うんです。子供らのためにも。

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