44 飲みに行くのは寂しいから 【にしゃんた こらむ】
初対面の人によく聞かれるんです。「いつ、国へ帰りますか?」
「僕は、日本の地方公務員なんです」って言うても、反応は変わらへん。いくら頑張って「帰りたくなーい」って言い続けても、日本の人口は多い。新しい出会いがあるたび、この質問を受ける覚悟はしています。でも、まわりがそんなんやから、京都人になった実感を持たれへん。それは、自分で決められへんのかな。第三者によって決まるんやろうなと最近よく思う。
そんなこと考えるのも、最近なんだか寂しいからかも。秋ですねえ。
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僕は重度の寂しがり屋です。まわりに人がいてくれへんと、何もする気が起きないんです。夜な夜な飲み歩くのも、寂しいからやって自分ではよくわかってる。仕事も、ひとりではできへん。まわりがうるさいと気の散ってしまう人が多いと思うけど、僕の場合はある程度、物音のあるほうが安心して仕事できるんですわ。[dig] のエッセイも、大学の講義の予習もね。
この前、山口の大学の先輩教員に愚痴りました。
「安渓さん。大学に行くと、僕の研究室にいつも大勢の学生が集ってきて、パーティーをやっているんです。そのせいで、勉強できない。でも家に帰ったら、今度は寂しくて勉強できない……」
「……困ったねぇ(アホかこいつ?)」
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山口にいる日は、大学の公舎で寝泊りします。でもそこは、2階建ての5LDK。そのなかを僕がひとり、パンツ一丁でうろちょろしてる姿を想像してみてくださいよ。たまりませんで。
「そろそろ寝に2階に上がるぞー」とか、「トイレに行くぞー」とか「テレビを見に行くぞー」とか、ひとりで叫びながら、広い家をさまよってるんですわ。研究するには最高の環境やろうって言われるんやけどね。
山口に行って早々に、自分の研究室の窓から飛び込んできたのは、桜の花、花、花。大学のある場所には、「桜畠」っていう素晴らしい地名がついてます。
引っ越したばかりで、知り合いはいない。桜の花を見続けて過ごしました。いつもやと「キレイやなぁ」って言いながら見てるのに、そのときは何も感じへんかった。
桜をキレイやと感じるんは、誰かと一緒にいて、その人と「キレイですねぇ」なんて言い合うプロセスがあってこそのものなんかもしれんと思った。
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人恋しい季節です。昔の彼女から、「結婚します」って電話がかかってきた。
今日も夜にもなると、「ひとり恐怖症」の僕は、寂しく木屋町に繰り出します。
いや、ほんまに寂しいからなんですってば。
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