47 日本とスリランカ 宗教事情 【にしゃんた こらむ】
スリランカは、宗教が入り乱れている国なんです。高校生までスリランカにいた僕は、いろんな神様に「神頼み」してましたわ。ラグビーをやっていたころなんか、とくにそう。
「今日の試合、勝てますように。怪我をしませんように」って試合の勝利祈願をするわけです。
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試合前の巡礼は、まずキリスト教の教会からはじまります。幼稚園から高校を出るまで、キリスト教系の学校に通ってましたからね。
そこでお祈りをすませてから、バスに乗り込んで試合のあるグラウンドへ向かうわけですが、途中、仏歯寺っていうお寺の前を通りかかります。そこで車のなかから、軽くお尻を上げて手を合わせる。これがいつもの勝利の儀式。
さらに行くと、今度はヒンズー寺院。そこでも勝利の神様に手を合わせる。イスラム教も盛んな国やねんけど、モスクはたまたま道中に無かったような……。あったらきっと手を合わせてたはず。
宗教が盛んなスリランカでも、実態はこんな感じ。ごちゃ混ぜなのは、日本と大差ないでしょ。
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神様の話で忘れられへんのは、日本に行くときのこと。
「大好きな日本に行きたい。行かせてください。お願いします」じゃあ、パンチが足りない。そんなお願いやったら、神様もしょっちゅう聞いてるはず。僕の切実さをわかってもらわな困る。
……やっぱお布施でしょ! おカネをちらつかせたら神様も気合いが違うやろう、って思ったんですわ。
「僕は大好きな日本に行きたい。神様! あなたが本当に力を持っているなら、僕を日本に行かせられるはずでしょ! かなえてくれたら2ルピー(約4円)あげるから!」
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だけど、日本に連れて行ってくれるボーイスカウトの面接試験から、合格通知はなかなか来ない。この資本主義のご時世やから、神様も「それじゃあ足りん」って思ってるんかもしれん。
「よーしわかった!じゃあ、これでどう?」
3ルピー、4ルピー、ってだんだん値段を吊り上げて……おかげで(?)合格通知が自宅に届きましてね。でも困ったことに、そのころには、神様になんぼ渡すか忘れてしまっていた。そんなわけで、まだ1ルピーも払ってません。ゴメンナサイ。
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でもね、やっぱりスリランカの宗教は腰の入り方が違う。たとえば、バスに乗ってるときだってそう。国道の脇に寺院があったりすると、道路の脇に路駐し、運転手がお客さんからお賽銭(シンハラ語でパドゥルと言います)を集めて、賽銭箱へ入れに行ったりするんですわ。なんぼ混雑してても、怒る人なんて誰もいーへん。
うちの親父だって、毎日朝晩、自宅の仏壇に手を合わせている。ほんで、五戒を唱えるんですわ 。
オカンは、地元の寺院の後援会長をやってます。宗教に気合いを入れるのは、僕の実家に限ったことではないですよ。宗教に熱心でないと、非常識な人に見られてしまうんです。
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お坊さんになると、五戒どころではないですよ。あらゆる欲望を、実際に絶っている。そのへんは日本と違いますね。だから、スリランカのお坊さんは、ものすごい尊敬を集めているんです。
数年前に、大阪でスリランカ・コミュニティ主催の仏教行事がありました。そこはもう、リトル・スリランカ。日本の常識は通じない。日本やと喋りっぱなしの僕も、下手なシンハラ語がばれるのが怖くて、無口な人になってしまいました。お坊さんが数人いはったので、跪いて手を合わせてね。こういうイベントがあると、緊張するあまり、ドーンと疲れてします。
ところがそのあくる日。僕が京都の地下鉄に乗っていると、そこに見覚えのある男性。私服だけれど、剃髪しているあの人は、他ならぬ昨日僕が跪いて拝んでいたお坊さんではないですか!
挨拶しようとすると、目をそらされる。よくよく見ると、なんと日本人らしい女性と子供をひとり連れている……。
郷に入れば郷に従え。彼は、日本風のお坊さんになっていました。
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スリランカでは、世界の4大宗教(キリスト教・仏教・イスラム教・ヒンズー教)が主に信じられています。でも、宗教の数で言うと、日本の方が断然多い。なかには、変な宗教もありますね。実は、それがスリランカで「ご活躍」していることもあるんですよ。
5年前スリランカに行ったとき、ある人物の等身大ポスターがそこら中に貼られてました。そのポスターの巨大さもさることながら、「スリランカにようこそ!」なんて日本語が書いてあるのが、なんとも気持ち悪い。
よく見ると、日本では詐欺疑惑で思い切り叩かれていた、某宗教団体の教祖ですわ。日本では活動できないので、今度はスリランカ人を騙そうとしているらしい。
京都に戻ってきて、その宗教団体のHPにアクセスしたら、なんと詐欺の疑いがかかってスリランカ国内では有名なとある高僧とその教祖の、握手をしている写真が載っているではありませんか!
そのキャプションには、素知らぬ顔で「仏教国スリランカで高僧の○○氏に手厚い歓迎を受ける」って書かれていましたわ。
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もうひとつの例は、もっとヒドイ。スリランカには、お釈迦さんが悟りをひらいたときにもたれていたと言われる、菩提樹があります。金塗りのフェンスに囲まれていて、世界中の仏教関係者から敬われているんです。
そこに現れた謎の日本人。スリランカ人は100メートほど手前から、その菩提樹に手を合わせているのに、彼らはなんと、菩提樹にもたれて撮影をしたいと言い出した。「それはできない」って断っても、「私は、お釈迦さんの生まれ変わりやぞ!」などとワケの分からんことを言って、強引に撮影しちゃったんです。
たぶん、お金が動いたと思う。その人物はとある新興宗教の教祖。そいつはめちゃくちゃうさんくさいヤツなんやで!って、大声で教えてあげたかった。結局その後、世界中を震撼させるとんでもない事件を引き起こして、逮捕されましたわ。
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資本主義が中心になっている日本の宗教(もちろん、真面目な方もいらっしゃいますけど)。資本主義とは違うところで生きるスリランカの宗教。どうか、スリランカの宗教に資本主義を教えないでください。
ほんまに、それだけはいらんから。
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