50 日本の箱 【にしゃんた こらむ】
「国際ナントカ」っていう機関があったり、イベントがあったり、こんだけ「国際」っちゅう言葉が使われてんのは、日本だけやと思いますわ。これって、日本は国際化されていないってことですよね。国際化ってのは、「国際」なんて言葉が使われなくなったときに、初めて達成されるもの。でしょ?
学生のころ、自分で「国際交流クラブ」をつくったり、留学生新聞の編集にも関わったりしてました。大好きな日本にずーっといるためには、「国際化」ブームに乗らなあかんと思い込んでた。もちろん、今後もそれは続く。日本にいる以上、ずっとつきあっていくんやろなと思っています。
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先日も、とある「国際化」の集いに参加しました。そのイベント会場には、『日本の箱』と書かれた箱が、3つ置いてありまして。外国人が、日本について連想するものを入れる箱らしい。
まずはひとつ目の箱から開ける。なかには、ギッシリとモノが詰まっていました。次々に面白いものが出てくる。
ゆかた、下駄、弁当箱、だるまおとしセット、招き猫、鯉のぼり、のしぶくろ、絵筆、折り紙、紙風船、絵葉書、歌集、日本国旗、ゲームソフト、紙芝居、日本地図、漢字の本、着物の帯、お箸、などなど……。
この箱にモノを詰め込んだのは、アメリカの大学の日本語科の学生なんですって。ただし、そのなかの誰ひとりとして、日本に来たことは無い。スリランカにいたときの僕と比べると、ずいぶんたくさんのことを知っているなぁ、と感じました。
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そして、次の箱に手を伸ばす。うってかわってそのなかには、たったふたつのものしか入ってへん。男性用の小便器と、お茶碗でした。日本に住んで5年目の、アメリカ人男性が入れたんですわ。
小便器、朝顔とも言うんだそうです。入れられていたものは、江戸時代につくられたものらしい。アメリカ人男性が説明する。
「見ていただきたいのは、この絵です。きれいな絵が描かれているでしょう。アメリカ人であれば、小便をかけるところにまで、こんな絵を描いたりしない。日本人は繊細です。細かいです。食事の盛り方ひとつとってもそう。どうせお腹に入れるんだから、きれいにしなくてもいいと思うのが、アメリカ人の発想です」
続いてお茶碗の説明。
「アメリカでは取っ手のついたマグカップが一般的。日本では器に直接手を触れる。中身が温かいのか、冷たいのか、ちゃんと確認できる」
「旬のものを大事にしたり、素材を活かしたりする日本人の特徴を表したつもりです」
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最後に、いよいよ3つめの箱。なかに入っていたものには、解説文がついていました。
1.「蝉」
(日本のマスコミのイメージ。ひとつのネタが出てくると、集中砲火で、これでもかっ!というぐらい騒ぐ。それでいて短命)
2.「スポンジ」
(日本人は吸収力が強い民族。何でも吸収して、自分のものにする力を持っている)
3.「桜」
(無条件にきれい。きれいなものはきれい)
4.「いろんな種類の旗がデザインされたTシャツ」
(日本は多様な社会であること)
5.「焼酎」
(庶民的。そしてうまい)
6. ポスター数枚
ポスターその1 大阪の警察
「犯人は外国人風の男 要注意!!」
ポスターその2 横浜市長選
「投票してこそ横浜市民」
(投票権のない外国人は、市民ではないのか?)
ポスターその3 大蔵省
「日本人として日本の将来を考え、自分の家族を考え、義務として税金を納めましょう」(外国人にも払わせてるのに……)
同じ日本をイメージしているはずやのに、ずいぶん違いますね。3つめの箱は、在日外国人三世の人たちが考えてくれたそうです。
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自分だったら、どんなものをこの箱に入れるんやろうか? もしスリランカにおったままやったら、「日本の国旗」と「折り紙」と「空手道着」を入れていたやろうなと思います。うちの親父やったら、大人気ドラマのヒロイン「おしん」を入れるやろう。
そしておかんやったら、僕の写真を入れるでしょう。
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