つよく、優しく、しなやかに、美しく ・・・「民 際」 と 「共 生・共笑(ともえ)」 な 眼 で 世 界 の 中 の 日 本 に 思 い を は せ て ・・・

70 スリランカ・サミット 【にしゃんた こらむ】

先日、名古屋で講演の仕事がありました。依頼主は、扇台中学校っていうところ。一学年で10クラスもありましてね。少子化で、廃校する学校も多いこのご時世に、珍しいですよね。

講演は今回で3回目。というのも、扇台中学校は、スリランカとの交流を3年も続けてくれてはるんですわ。ここに行くと必ず出てくるのが、紅茶です。砂糖を3袋も添えてくれる。スリランカでは紅茶に砂糖をたっぷり入れて飲むことを知ってはるんです。そんなわけで、コーヒー派の僕も「僕、コーヒー」とは言われへん。

会場には、スリランカ出身の人も数人いました。久々に目にする、スリランカのサリー美人。僕は着物を着ている日本の女性のうなじが大好きです。なんともセクシーです。でもサリーを着ている女性のうなじは、それ以上にセクシーで……

……スンマセン。話が脱線しました。で、その3回目の講演は、『スリランカ・サミット』というタイトルがついていました。扇台中学校に限らず、名古屋の3つの学校が、そのサミットに参加してたんです。スリランカと交流している学校が、名古屋だけで3校もあるなんて、正直驚きでしたわ。

今回は、学生の発表に対して、コメントをすることが求められました。学生たちの一部は、スリランカの民族衣装を身に着けてくれてまして。着こなし方がちょっと違うようにも思うけど、ほのぼのして、うれしいもんですわ。パネルや映像、はたまたスライドなんかも使って、かなり本格的。

塩や紅茶のフェアトレードに取り組む学校。スリランカに自転車を贈っている学校。他には、鉛筆やノートを贈っている学校もありました。

発表が終わると、スリランカ人のコメントタイムに突入。ところがステージの上のスリランカ人の方では、眉間にしわ寄せながらのヒソヒソ話がはじまってしまってました。

「スリランカに鉛筆を送る必要があるやろか?」
「スリランカは、鉛筆を輸出してる国やしな」
「おかしいのは、日本の学校の教科書に『鉛筆の向こうに』っていう話がのってるやないか」
「日本人は、スリランカで鉛筆つくってるって、知ってるはずや」

鉛筆の芯は、黒鉛と粘土でつくられます。粘土が多くなるにつれて芯が硬くなっていきまして、その割合で、HやHBに分かれるわけです。日本の教科書にのっている『1本の鉛筆の向こうに』は、鉛筆を見つめると、世界が見えてくるっていう内容でしてね。芯になる黒鉛はスリランカのボバラ鉱山の地下300メートルのところから採掘されたものだ、と紹介されているんですわ。

この話のおかげで、日本人の小学生とすぐに友達になれます。嬉しいです。でも、スリランカで黒鉛とってるおじさんが、ポヂマハッタヤさんって名前でして、僕もポヂマハッタヤさんって呼ばれるのは、悲しい。

それはともかく、スリランカに鉛筆がなくて困った、なんて話は聞いたことが無い。だれが鉛筆を送ろうなんて思いついたんやろうか? 子供の発想とは違うなぁ~。

スリランカに援助をしてくれる日本の団体は多いんです。でも、何でそんなものを援助してくれんの?ってのも多いんですわ。たとえば、スリランカに学校を建ててくれる人。でも、スリランカには、そこらじゅうに学校ありまっせ。しかも、幼稚園から大学まで無料なんです。教科書に給食、制服をつくる生地まで支給されます。おかげでスリランカの識字率は、世界的にもトップクラス。学校に関しては、切羽詰ったりはしてないんですわ。

そもそも、それって交流っていえますかね?日本って、交流=援助みたいになってませんか? 最近、日本のODAは批判が多いでしょ。先日もインドネシアのスマトラ島から16人の住民代表が来日して、日本からのODAで建造されたコトパンジャン・ダムを訴えました。●関係地域の自然環境の破壊、●伝統的社会・経済・文化の破壊、●現地住民の経済的困窮、●対象国の債務の破産的累積、●独裁政権の基盤への寄与、などがその理由ですわ。

無責任な援助が、相手国を不幸にすることもあるんです。

ステージの上で、学生たちにひとつ質問をしたくなりました。
「あなたたちは、スリランカから何を学んだんですか?」

大きな会場は、シーンとなった。ステージ上のスリランカ人は、お互いの顔を見合わせました。

スリランカ・サミットは、終わりました。甘い紅茶をのんで疲れを取っていると、先生とPTAの方がやってこられました。
「学生はシャイなので、答えられなかったけど、みんながいろいろ感じているのは間違いないんです。そのことをどうしても伝えたくて来ました」
「もちろん。僕も彼らの年齢やったら、とても答えられませんよ」

日本とスリランカ。一方的に援助してあげたり、教えてあげたりする関係が、いつの間にかできあがってしまった。子供たちが、その方向でしか物事を考えられなくなってしまったのは、間違いなく、大人の入れ知恵のせいです。

素直な心で、両国の子供たちが触れ合ったら、スリランカ・サミットはどんな内容になったやろうか? 考えずにいられませんでした。

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