つよく、優しく、しなやかに、美しく ・・・「民 際」 と 「共 生・共笑(ともえ)」 な 眼 で 世 界 の 中 の 日 本 に 思 い を は せ て ・・・

78 町屋を買うぞ!? 【にしゃんた こらむ】

京都の町屋に住みたい。それは僕の長い京都生活のなかで、ずっと育んできた夢ですわ。ほんまは貧乏やったからやけど、「結婚するまではこれで充分!」なんて言って4畳半の部屋に12年ぐらい粘ってたし、そうは言うても風呂つきの部屋のほうが経済的やでって連れに教えてもらってワンルーム・マンションに住んだ時期もあった。でも、僕はずっとずっと町屋に住みたかった。

そういえば、昔おつきあいしていた女性にそんなこと言うたら、思いっきり反対されたことがありましたわ。「絶対にマンションがいい!」って。その彼女、京都生まれの京都育ち。皮肉なことに、京町屋の不動産までもってた。人間は無いものねだりの生き物なんかもしれへんなあって、そのとき実感しました。僕も無いものねだりをしてるだけなんかもしれへん。まあ、そもそも無いものねだりが高じて、僕は日本にいるに違いない。でも何か本能的に惹かれるところが、確かにあったんです。

そんなふうに、なんとなく町屋の生活にあこがれている時期が長かった。人生設計もとくになかったし、お金もなかったし、どういうわけか結婚もできそうになかった。でも、仕事をしはじめてから、少しは自由に使えるお金が確保できるようになりました。で、勇気を出して、これを機に家を買おうって考えたんです。

じゃあ、まずはじめに場所探し。京都のなかで具体的にどんなとこが好きなんか整理してみました。

1. 京都市内でいちばん緑の多い御所。
2. 水辺のほとり……高瀬川、鴨川、みそぞぎ川。
3. 京都の文化がいちばん凝縮されていると思う寺町。僕は友達を案内するんやったら、まずいちばんはじめにここへ行きます。

というわけで、どうせならこの3つのすぐ近くに住みたい! とまあ、そんな感じで目星をつけて、家探しの旅へ繰り出すことに。

……やっぱり町屋の数は少なくなってきてるなあ。壊しかけの町屋をいくつか目にしながら、ここは空き家っぽいな、と思うところを見て回る。ふらふらあてもなく。それでもそんなうちに、気になる一軒を見つけました。

二階建ての、長い間誰も住んでなさそうな感じの家。表に出ているメーター類も、すべて止まってます。さっそくまわりに聞き込み開始。運よく、何件か隣の家が大家やった。

まずは単刀直入、「家をください」って交渉に入りました。で、考えさせてくださいという話でその場はお終い。うーん、直接的すぎたやろか。突然のできごとに恐がっているとしか思われへん大家さんの顔、よい返事なんかあるはずないやろな……しかし数日後に連絡が。なんと、とりあえずお家を見せていただけることに(!)なりました。

家は、老朽化して畳もぼろぼろ。ネズミの糞もたくさん落ちてました。建物は大正時代のものだそうです。入り口から奥まで通り庭(=土間)が続いてます。その通り庭に沿って部屋が3つ。入ってすぐの部屋は店の間、真ん中は中の間、そして奥の間。さらにその奥には、灯篭に水鉢などがある奥庭(北庭)がありました。奥庭の左右には、それぞれお手洗いとお風呂。お手洗いへ行くには一回外へ出なあかん。2階へは中の間からの細い隠れ階段を上っていきます。そこにも1階同様3つの部屋がある。押入れも大きい。

普通の家と違う点はそれだけじゃないです。床の間が3箇所もある。神棚もあるし、天窓もある。正直、ここまで神経を使って町屋を眺めるのは初めてでしたわ。ちょっとしたカルチャーショックを覚えました。

なかでも、いちばんの大きな発見。廊下に腰を下ろして、奥庭を眺めてたときのことでした。子供に帰ったような気がしたんですわ。子供のころ、なーんも考えずにスリランカの実家の庭を眺めてたときと同じ気分。日本に来て18年目、故郷から遠く離れた京都で、その懐かしい感覚を思い出したんです。そう、そのときなんとしてでもこの建物を手に入れようと心に決めました。

問題がひとつ。大家さんが値段をなかなか言うてくれへん。しゃーないから、もつべきものは友達。大学のかつての同級生を集めて、どんなもんかって聞いてみました。

不動産屋の連れに聞くと、3千万円のローンを組んで買えるんちゃうか、という話。でも銀行員の連れはまた違うことを言う。曰く、この土地を更地にすればもう少し値段は上がるやろ、と。ちょっと待ってよ。確かにまだ掃除とかもしていないけど、このステキな町屋の価値がマイナス評価ってこと? 僕のアタマのなかは「?」でいっぱいですわ。でもフシギはこれで止まらない。役所に勤めている連れはまた違うことを言う。

「3千万円で保存登記しても、土地付き家やったら固定資産としては500万円ぐらいになるよ」……20%にもならへんやん。でもこれは固定資産課税台帳上の評価価格で、京都市の固定資産課税標準価格に照らすとその半分近くの200万ぐらいにしか査定されないらしい。

果たして、この買い物の本当の価値は3000万円なのか200万円なのか、理解しにくいんは日本人離れしている僕やからなんやろか。少なくともこれから買おうとしている僕以外、みんなフシギに思ってる気配はない。さらに、さっきの不動産屋の連れは「バブルのころには、1億円近くいったはずやで」って……

「どないなってんねん!」思わず発狂しそうになった僕。そして、さらに僕は最後のとどめをさされました。

「ちゅうかオマエ、そもそもローン借りられへんぞ」

もう僕にはなにがなんだか……つづく。

コメントする

お仕事のご依頼などは...

マネージャー

下中(しもなか)迄

■E-mail■

info@nishan.jp

■電 話■

06-6886-1175

■携帯電話■

090-6670‐1020

■F A X■

06-6886-1176

お問合せフォームはこちら

2011年12月

        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31