「民 際」 と 「共 生」 な 眼 で 世 界 の 中 の 日 本 に 思 い を は せ て ・・・

80 サリー&サロン 【にしゃんた こらむ】

初めて日本に来たとき、宿泊していた東京のホテルの押入れに置いてあった浴衣を着て、写真を撮ったんです。で、その写真をスリランカに持って帰って、「格闘技をするときの服やねん」って自慢げに見せびらかしたんですわ。

喧嘩ばっかりしてた子供時代、でもまわりの子から「あいつ、日本で格闘技をかじってきたらしい」って、少なくともちょっとした牽制にはなりましてね。喧嘩を売られることが少なくなりました。

当時の僕にとっては、着物も浴衣も甚平も作務衣も、それこそお坊さんの僧衣も、全部格闘技の服に見えた。

でもひとつだけ違って見えたんは、女性の着物姿。ファンタスティックでねぇ。着物美人と一緒にとった写真をみると、いつも照れくさそうに写っている自分がいるんです。

少年時代の僕の心を捉えて放さなかった、日本の着物。実は、僕にとって完全に異なる文化のものというわけでもないんです。というのは、日本の着物のルーツは、さかのぼると南アジアのサリーに辿りつくんですわ。

スリランカの民族衣装でもあるサリー。ちなみに男性用は、腰から下が「サロン」。上はシャツです。

僕も実家にいるときは、サロンだけ身に着けて上半身は裸というのが普段の格好やった。常夏の国では、この格好は最高に気持ちいい。それでも食事のときや、お客さんが来たときは、さすがに上半身にシャツを着ないと怒られましたけどね。

スリランカの女性は、いまでも日常的にサリーを着ます。男性がサロンを着ることは少なくなりましたね。とくに仕事の場面では、西洋化に乗り遅れているっていうふうに見られちゃうんですわ。だから会社の管理職にもなると、必ずズボンにワイシャツ、ネクタイを身に着ける。暑くてしゃーないから、クーラーをがんがんにかける。それでも汗びっしょりで、服は一日でダメになります。

まぁ、洗濯しても一日で乾くからいいんやけどね。スリランカのお父さん連中にとっては、会社から帰宅して、サロンに着替えるときが最高に幸せな一瞬ですわ。

日本の着物と、スリランカのサリーやサロン。いろいろと共通点があります。

なんといっても、気候に合ってること。通気性に優れてます。違うところは、日本の着物は冬、暖かいことかな。意外と知られていませんが、帯を締めることとによって体が温まるんです。現代の生活におけるその帯の機能は、僕も最近使っている「腰巻」に転用されてます。

それから、身体が成長しても買いかえる必要がないってところも同じですね。人は背が伸びたりするし、最近の僕のように横方面にも成長します。西欧の服やったらその都度サイズが合うものを新調しなアカンけど、着物もサリー/サロンも、折って腰で調整すればいいんですからね。腰上げとか肩上げとか。

それから、寝るときはきちんと着てるのに、朝起きると裸同然になっているという点も共通しています(いや、寝相の悪い人だけやけどね)。それはなにより、国が平和である象徴なんとちゃうかなって思うんです。

朝起きたときには自動的に脱げてしまってるような服を着るなんて、国が戦争ばっかりしてたら、とてもできませんわ。西郷隆盛さんのふたつの銅像を思い出して下さい。鹿児島にある軍服を着た西郷さんと、東京の上野にある、着物姿で犬のお散歩中の西郷さん。着る服が変わるだけでもこんなに違うんかと、驚きます。

ところで、さっきスリランカの女性は日常的にサリー着てるって書きましたよね。もちろん、日本と同じようにスリランカにも西洋のワンピースとかが入ってきてるんですけど、ワンピースは「労働用の服」っていう位置づけなんです。

スリランカの女性は、労働者の格好であるワンピースを着るのを、すごく嫌がる。だから事務職や、出世して管理職になった女性は、絶対にサリーを着るんですわ。スリランカではサリーを着ることが格好いい。生活の優雅さを表すんです。

日本でも、こんな考え方が浸透するええなあって思うんです。

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