つよく、優しく、しなやかに、美しく ・・・「民 際」 と 「共 生・共笑(ともえ)」 な 眼 で 世 界 の 中 の 日 本 に 思 い を は せ て ・・・

88 ピース! 【にしゃんた こらむ】

日本行きの飛行機のなかで、スリランカ風の春巻きと間違えて、おしぼりを食べてしまって以来、僕はたくさんのカルチャーショックを経験しました。エレベーターこそ無事に乗りこなせたものの、エスカレーターに乗るタイミングをつかむまでには、ずいぶん長い時間がかかりました。いったい何度コケたことか、信じてもらえるでしょうか……。

なかでも、公衆電話で電話をかけていた日本人のおじさんの姿が忘れられない。自分の目を疑う光景が目の前で展開されてました。おじさんと電話の関係性ですわ。なんと、おじさんが、電話にお辞儀をしながら喋ってる。ハテナマークで頭が一杯になった僕は、一緒に日本に来た友人に尋ねた。何でも知っているので有名だった彼のあだ名は、「ハカセ」。

「ハカセ、あれ何?」
「……お前、そんなんも知らんのか」
「お前、知っとるんか」
「当たり前や。ええか、日本人は礼儀正しい民族やねん。だから電話機に対しても礼儀を重んじるんや。何ぼお金を入れてもそれでは不十分やねん。お辞儀せんと、電話は勝手に切れよんねん」

いま考えると、博士はアドリブが上手な人やったんやなぁ。当時はひたすら感心してしまいましたが。

スリランカは、威厳を大事にする国なんです。自分を大きく見せる習性がついてる。狭い道をすれ違う時、ぶつからないように道をあけてあげたり、体をそらしてあげると、感謝するどころか、相手がビビっていると思いこみ、態度からなにから大きくなる。ほんで、同じように譲り合うどころか、道のど真ん中を堂々と歩いてしまう。これ、イギリスに植民地支配されていたころの名残なんですわ。対人関係支配戦法です。数の少ないイギリス人が、多数のスリランカ人を支配するためのやり方やったんですわ。

僕は、自分が下手に出ても、相手との親近感を保とうとする日本社会の対人関係が好きです。スリランカ人も絶対に見習わなあかん。そしたら悲しい内戦やテロも無くなるでしょう。

僕のdigエッセイを担当している編集のTさん。いつも「にしゃんた、早く結婚せえっ」って心から心配してくれてた彼が先日、僕より一足(?)早く結婚しました。二次会に僕も遊びに行きまして、素敵なTさん夫妻をみんなで祝福。僕も簡単なスピーチをしましたよ。

それで場はちょっとした合コンのりになってきたので、新婦の未婚のお友達を口説いたりなんかもしちゃったりしていると、なんと地震発生!! 揺れる揺れる。久々の震度5級もの。一瞬会場は静まりかえりましたが、まあだからって、机の下にもぐる人もいなければ、大声を出す人もいない。平穏無事に結婚式の二次会は終了。

みんな出口でさよならを言っているときですわ。お店の方が、異常なぐらい申し訳なさそうな顔をして、Tさんに謝っている。何のことかと近寄って耳を傾けると、なんと「地震でみなさまを驚かせてしまって、大変申し訳ないです」って謝ってるではないですか。

スリランカ人には理解不能な話であることは、間違いない。どう考えても、地震が起きたのは店の人のせいじゃない。それでも、お店の人は恐縮して謝ってました。それに対してTさんも恐縮しながら、笑顔でお礼を言っていた。これこそ、日本が世界に誇る、「謙虚の心」なんやろうなって思いました。

スリランカは、自分の非を認めることはしない。非を認めるということは、会社であれば自分の首が危ない。日本だったら、「ごめん、花瓶を割ってしまってん」いうところが、スリランカでは、「花瓶が割れた」としか言わない。

二次会の席。質問攻めにあっていたTさん。「いままでいちばんの喧嘩はどういう理由やった?」って聞かれ、「気まずい雰囲気になったその瞬間にとにかく僕が謝る、という戦法をとっているので、喧嘩したことありません」と答えてました。是非是非、いつまでも謙虚な心を持ち続けて、幸せで平和な家庭を築いてくださいね。

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