つよく、優しく、しなやかに、美しく ・・・「民 際」 と 「共 生・共笑(ともえ)」 な 眼 で 世 界 の 中 の 日 本 に 思 い を は せ て ・・・

91 バナナの葉っぱのお弁当 【にしゃんた こらむ】

僕は世界で一番おいしい料理を作れる人はうちのおかあちゃんだと信じています。これは絶対間違いないです。母が家で作ってくれたご飯も好きですが、お母ちゃんのお弁当もなかなかなんです。

うちの家で一番早起きはおかあちゃんです。目覚まし時計がない自宅では鶏の鳴き声が時計代わり。おかあちゃんが起きるなり、釜に火をつけて早速料理に取り掛かります。そして料理の出来上がりがそろそろというときに包丁を持ってまだまだ外が暗いのに庭に走ります。今度、家の中に入って来ると時は包丁のある反対側の手には庭で切り取ったばかりの大きなバナナの葉っぱが。それをどうするかというと、早速、鍋を乗せている竈の火を横からもらって葉っぱの裏側を焙るのです。それは葉っぱがち切れにくくするためなんです。

何を隠そうこのバナナの葉っぱはスリランカではお弁当箱に変身するのです。

バナナの葉っぱの上に熱々のご飯と汁気の少ないおかず(カリー)が乗せられます。それを丁寧に包つまれてお弁当の出来上がりってこと。

朝は本当に辛い。まだまだ眠たいのに学校に遅刻するからと親に起され、子供達も急いで顔を洗ったり、服を着替えたりして朝食を食べる。そして、家を見送られるときには、教科書の入った鞄と一緒に、おかあちゃんの愛情たっぷりのバナナの葉っぱの弁当が胸元にしっかりと。スリランカは常夏といわれますけど、それでも朝晩は少し冷え込む。そんなときに、バナナの葉っぱと新聞紙の表にまで伝わってくる温かい熱がなんとも気持ちが良い。

学校に着くと、授業のときは弁当を机の中に入れて置くのです。学校に着く頃はそんなことは無いのですが、時間が経って外もだんだんと暖かくなってくるに連れてバナナの葉っぱに蒸せたご飯がなんともいえない香りを放つ。その香りで教室が充満するのです。そのあまりにも美味しい香りを我慢できずついつい先生に隠れて弁当に手を出してしまって先生に怒られることがよくありました。

お昼にはご飯の時間がやってくるわけですが、無事食べずに残っているお弁当を持ってみんなで二三台の机をくっつけて囲むのです。そしてそれぞれのお弁当を競ってみんなで広げる。でも次の瞬間、いくら食べたくてもそれを、我慢して固唾を呑みながらも、各々が自分のお弁当にあるおかずを少しずつを取って周りの人のご弁当に載せていく。そして、みんながおかずを分け合った頃に、皆で一斉に食べ始める。

食べる時には、それぞれのお弁当には、自分のおかあちゃんが作ったものも、友達の家の違う味付けや料理法が異なるおかずもずらり。スリランカ人の子供にとってはバナナ葉っぱの弁当は違いを楽しむ基本的な感覚を養わせる大事な過程と同時に親御さんの精一杯の愛情を一番感じられる瞬間なのかもしれない。

先日、高校教師をしている友人に会いました。偶然にもお弁当の話になりました。最近では、遠足に行くと親御さんはお子さんにお金を握らせるようです。そして先生はお店でお弁当を買う時間を確保するんだそうです。遠足で食べた味は規格化されたもので何かが少し寂しいのかもしれない。

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